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(2007-9-12) ヤコブ （ハラン脱出編） part 7 （前回からの続き） ラバンの捜索を受けても結局、守り神の像が出てこなかったので、ヤコブはラバンにまくし立て始めた。 「言いがかりもいい加減にしてください。いったい、何のために私を追ってきたのですか。あなたのものが、何か出てきましたか？ 私はこの２０年間、あなたのために働き続けてきました。１４年間をあなたの二人の娘のため、６年間をあなたの家畜の群れのために働きました。あなたは私の報酬を１０回も変えました。もしも神の加護がなかったら、私は無一文で追い出されていたことでしょう。」 ラバンは昨夜の夢の、神のお告げを思い出していた。ラバンは、言った。 「この娘たちは私の娘だ。この孫たちも私の孫だ。この家畜の群れも、私の群れから生まれたものだ。だが昨夜、夢の中で神のお告げがあった。よかろう、私はもうお前たちに手出しをしようとは思わない。ここで契約（約束）を交わそうではないか。」 ヤコブはしもべの一部に命じて石を集め、そこに石塚を築いた。ヤコブの集団とラバンの集団は、そこで食事を共にした。 ラバンはさらにヤコブに言った。「我々が互いに離れているときも、主がお前と私の間を見張ってくださいますように。いいか、もしお前が私の娘たちを苦しめたり、ほかの女性をめとったりするのならば、たとえ他人が知らずとも神ご自身がお前と私の証人であることを忘れるな。」 ヤコブは山の上で連れていた家畜の一部を屠り、犠牲として神に捧げた。そうして山上でヤコブとラバンはその日をそこで過ごした − おそらくは別れの祝宴であろう。夜が明けると、ラバンは娘や孫に口づけをして祝福を与え、ハランへと帰って行った。もう、娘や孫を見ることは、生涯あるまい。
こうしてヤコブとその一族はカナン地方に帰るわけだが、これで一件落着ではなかった。そもそもヤコブがカナンを去ってハランに行かなければならなくなったのは、若かりし頃、ヤコブが父イサクの祝福をだまし取り、兄エサウの恨みから逃れるため（(2007- 7-25) ヤコブ part 5参照）である。 「父が生きている間は我慢するが、そのときが来たら俺は必ずヤコブを殺す。」 カナンに戻るということは、この言葉を吐いた兄と対面する可能性をはらんでいた。 次回から、新編突入です。 なお、ヤコブ （ハラン脱出編）は旧約聖書 創世記 第３１章から。蛇足ですがお断りしておくと、聖書の話をもとにしつつも、細かいところでは管理人の創作がかなり入っています。
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