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(2007-8-31) ヤコブ （ハラン脱出編） part 2 （前回からの続き） ヤコブ一家は、脱出の機会を窺った。悟られないように、少しずつ準備を進めるうち、ある日、義父ラバンが羊の毛を刈るために遠出することがわかった。 ヤコブたちは、その日を待った。脱出するとすれば、その日をおいて他にはない。そうしてその日がやって来た。ヤコブは召し使いにラバンの居住地あたりを探らせて、ラバンが遠出したことを確認させると、直ちに脱出の身支度を始めた。食糧・水をまとめ、家畜をまとめ、妻・子ども、召し使いを連れて、川を渡ってギレアドの山地を目指した。出発にあたり、ラケルは密かに、父ラバンの家の守り神の像を盗んだ。この脱出行が無事に終わるように願ってのことであろうか。 できるだけ脱出は急いだ方がいいのだろうが、いかんせん家畜の群れも連れているために、移動の速度は限られていた。ヤコブたちとしては、ラバンが気付くのができるだけ遅くなるのを祈るよりほか無かった。
そうはいうものの、大勢の家畜が移動するのである。当然、土煙が起きた。ラバンが外出していたとはいえ、その召し使いが異変に気付いた。しかし、主人ラバンは羊の毛を刈るために遠出している。ラバンが脱出を知ったのは、ヤコブが去って３日目のことだった。 「いなくなった、だと！？」 家に戻ったラバンは召し使いに怒鳴った。さらに悪い知らせが待っていた。「守り神の像が、無い！？」 もう年老いたラバンだが、怒りの大きさゆえに、即座に追跡を決断した。「ヤコブは私の娘たちを連れ去った上に、守り神の像までも盗みおった。許せるものか！！」 彼は息子や一族の者を率い、らくだに乗って追跡を開始した。出発前に一族の者に短剣を持参するよう告げ、自身も武装した。いざとなれば、ヤコブを殺してでも娘や孫を連れ戻す覚悟である。 召し使いの情報から、ヤコブが南を目指していったことはわかっていた。南と言えば、ヤコブの故郷、カナン地方を目指したのか？ ラバンの妹リベカの住んでいた場所でもある。あとは、脱出のルートを探るだけだ。（ラバンにとっては）幸いなことに、ヤコブは一族やその家畜の全てを引き連れていたから、非常に目立つ。行く先々の村・オアシスで情報を拾い、ラバンはヤコブを追跡していった。 家畜の群れを率いるヤコブたちの移動速度に比べ、ラバンたちの速度は速い。追跡開始後７日目に、ラバンはギレアドの山地でヤコブに追いついた。 （次回に続く）
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