イスラムの歴史 (2007-03-18)

(2007-3-18)　はじめに

　このページでは、当面は、イスラム教が誕生する７世紀初頭以前の歴史を扱いたい。なぜなら、イスラム教はユダヤ教、キリスト教と共通の神を戴く宗教だからである。少しでもこのテーマに関心のある人にはあまりにも基本的な知識であろうけれども、しかしここは大事なところなので、強調しておきたい。今日につながる命題だからである。今日、中東をめぐっては、ユダヤ教を信じるイスラエルと、それをとりまくイスラム諸国、そしてイラクに介入したアメリカ（その成り立ちからして、キリスト教を強い基盤としている）などが複雑な利害関係を演じている。日本人からすれば全く異なる宗教にみえるこれらの勢力が、共に同じ神を信じているというところが重要なのである。そして、それぞれの宗教は、それぞれが「自分たちの宗教こそが正しい」と信じている（個人差はあるだろうけれども）。裏を返せば、「他の宗教は間違っている」という考えにもなりかねない（し、実際そう信じている人もそれなりにいると思う）。

　そういう文化的・宗教的土壌が今日の事態にも影響を与えている以上、イスラムの歴史を扱うにあたって、単にイスラム教が始まる７世紀初頭から始めるのは無意味であろう。

　私としては、旧約聖書及びそれに付随する部分の歴史、つまりキリスト教が誕生するまでの時代を第１部で扱いたい。