|
(2015-7-4) 粛清 part 3 （前回からの続き） イエフは、すでに記した逸話が示すように、イスラエルの神に忠実であった。そういう立場からすれば賞賛に値する行為なのだろうが、イエフはバアル宗教を一掃するために策略を用いた。 イエフは全ての民を集めて言った。「アハブは少ししかバアルに仕えなかったが、このイエフは大いにバアルに仕えるつもりだ。今、バアルの全ての預言者、バアルに仕える全ての者、全ての祭司を私のもとに呼べ。一人も欠席させてはならない。私がバアルに大いなるいけにえを捧げるからだ。欠席する者は誰も生かしてはおかない。」 政権が交代して直後、イエフがどういう思想の持ち主か、民には十分知られていなかったからこそ、可能なことだったのであろう。イエフが、「バアルのために聖なる祭りを催せ」と命じたので、彼らはそれを布告した。イエフがイスラエル中に使者を遣わすと、バアルに仕える者が皆、一人残らず集まってきた。彼らはバアルの神殿に入り、神殿は隅々まで満ちた。イエフは衣装係に、「バアルに仕えるすべての者に祭服を出してやれ。」と言った。衣装係は、命ぜられたとおりに祭服を出した。 イエフはレカブ人ヨナダブと共にバアルの神殿に入った。そこには、イエフが手配した祭服を着たバアルの信奉者で満ちていた。イエフは彼らに言った。「主に仕える者があなたたちと一緒にいることがないよう、ただバアルだけに仕える者だけがいるように、よく調べておくのだ。」 間違ってイスラエルの神を信じる者を巻き添えにしてはならない。イエフは入念だった。バアルの信者は無邪気にイエフの命令を守った。理論上、これでここにはバアルの信者しかいないはずだった。ここまですれば、イスラエルの神を信じる者たちに対してイエフの道義的な弁明は成り立つ。 あとは、いけにえと焼き尽くす献げ物を捧げるだけだった。イエフはヨナダブと一緒にバアルの神殿に入る前に、８０人の部下を密かに神殿の外に配置した。イエフは彼らに言った。「もし生かして彼らを逃すようなことがあれば、お前たちの命は無いものと思え。」 男たちは無言でうなずいた。あとは、手はずどおりに物事を進めるだけである。 イエフとヨナダブは神殿に入ると、バアルに犠牲を捧げる儀式を行った。犠牲を捧げ終え、神殿が厳かな雰囲気に包まれたまさにその時、イエフは部下に合図を送った。「皆殺しにしろ」の意味である。イエフの部下たちは神殿に入ると、バアル信者たちを殺し始めた。イスラエルの宗教からすれば、正しいことをしている − はずである。彼らは神殿の中で逃げまどうバアル信者を殺し続けた。 （次回に続く） 参考地図1-7-19：イエフの謀叛〜粛正
|
