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(2015-1-3) イエフの謀反 part 3 （前回からの続き） イエフが主君の家臣たちのところに戻ると、彼らは「どうだった？ なぜあの狂った男はあなたを訪ねて来たのか。」と聞いた。イエフは「あの男が誰で、私に何を言ったのか、あなたたちには分かっているはずだ。」と答えたが、彼らは言った。「それは違う。我々によく説明してくれ。」 そこでイエフは言った。「あの男は私にこのように告げた。『主はこう言われる。私はあなたに油を注ぎ、あなたをイスラエルの王にする。』」 誰もが予想しなかった言葉に、全員が凍り付いた。王になる。そのような言葉が浮上する男は現在の王にとっては危険であり、排除される対象になりかねない。一方で、民の支持を取り付けられるのなら、新しい王として担がれるかもしれない。博打のような危険な言葉であった。 静寂が続いた。皆が、考えた。ヨラムとイエフのどちらが王にふさわしいか。だが、答えは自ずと決まったようである。一人の男が、イエフに向かって歩き、その前で上着を脱ぐと、跪いてその上着をイエフの足元に敷いた。すると、ほかの男たちも次々とイエフの足元に跪いて、上着を敷いていった。ついには、ある男が角笛を吹いた。誰かが「イエフが王になった。」と言った。すると、次々と「イエフこそが王だ。」という声が興った。 イエフは、王ヨラムに対して謀反を起こした。先にも述べたとおり、ヨラムはラモト・ギレアドの戦闘で負傷し、イズレエルで療養中である。イエフは配下の部下・兵士たちに言った。「もしもお前たちが本気ならば、誰もこの町を抜け出してイズレエルに知らせてはならない。」 イエフは、ラモト・ギレアドでアラム軍に対峙している自軍の兵力の一部を割き、戦車隊を編成してイズレエルに向かった。 結局、イエフの情報統制は成功したようである。あえてヨラムに急変を知らせる者はいなかった。イエフはイズレエルに接近した。イズレエルの塔の上には見張りが立っていた。見張りは、イエフの軍勢が接近してくるのを見て、「軍勢が見えます」とヨラムに知らせた。ヨラムは「騎兵を一人選んで迎えに行かせ、道中無事だったか、尋ねさせよ。」と命じた。 騎兵が一人選ばれ、彼は馬に乗ると、軍勢に向けて馬を走らせた。接近してくる軍勢が味方であることを確認した騎兵は、イエフの軍勢に合流し、イエフを捜し出すと言った。「王が、道中無事であったかと尋ねておられます。」 しかし、イエフは言った。「私が道中、無事であったかどうか、お前に何の関係があるのか。まあ良い、お前は私の後ろに回れ。」 イエフの尋常ならざる様子に不安を覚えたその騎兵は、とりあえずイエフの軍勢に合流した。やがて軍勢の中に旧知の兵士を捜し出した騎兵は尋ねた。「一体、何が起きているのだ。」 その兵士は答えて言った。「黙ってついてくるんだ。いずれ、わかる。」 緊張した兵士の表情から、ただごとではない雰囲気を察したその騎兵は、友人の言うとおり、黙ってイエフの部隊に従った。 （次回に続く） 参考地図1-7-19：イエフの謀叛
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