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(2012-6-30) イスラエルとアラムの戦い part 1 北イスラエル王アハブの話に戻る。あるとき、アラムの王ベン・ハダドは全軍を集め、北イスラエルに侵攻してきた。ベン・ハダドは(2012- 3-31) アサとバシャの戦いで登場した、南ユダ国の王アサの要請に応じて北イスラエル王国に圧力をかけた王（もしくはその２世）である。ベン・ハダドは32人の王侯と、軍馬と戦車をそろえて北イスラエルの首都サマリアに進軍し、これを包囲して攻撃を加えた。 デモンストレーションとしての攻撃が一段落すると、ベン・ハダドは使者をアハブに送ってきた。使者はアハブに言った。「ベン・ハダドはこう言う。あなたの銀と金は私のもの、あなたの美しい妻子たちも私のものである。」 それに対してイスラエルの王は、相手を刺激しないためにこう答えた。「我が主君、王よ、あなたのお言葉どおりです。私も、私の持ち物もすべてあなたのものです。」 だが、具体的に金銀や妻子を提供するか否かについては一切触れなかった。 使者はベン・ハダドにアハブの言葉を持ち帰ると、再びやってきてアハブに言った。「ベン・ハダドはこう言う。私はあなたに使者を送って銀と金、妻子たちを差し出すようにと言った。明日のこの時刻に、私は家臣たちをあなたに遣わす。彼らはあなたの家とあなたの家臣の家の中を探し、あなたの目が喜びとしているものをすべて手に入れ、奪い取る。」 イスラエルの王は、サマリアにいる長老たちを召集して言った。「この男が、困ったことを要求しているのをよく知ってもらいたい。彼は使者をよこして、私の妻子と、銀と金を求めてきた。私はそれを断り切れなかった。」 長老たちと民は皆、王に言った。「求めを聞き入れないでください。承諾してはなりません。」 こうして、王はベン・ハダドの使者に言った。「我が主君、王にこう伝えよ。『使者を送ってあなたがしもべになさった先の要求にはすべて従います。しかし、このたびの要求には従えません。』」 使者は帰ってこの返答を伝えた。ベン・ハダドは使者をアハブに送ってこう言わせた。「もしサマリアに残る塵が私に従うすべての人々の手の平を満たすことができるなら、神々が幾重にも私を罰してくださるように。」 ベン・ハダドのこの言葉は一見、わかりにくい。『新共同訳 旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.404では「様々な解釈がなされる句、サマリアへの侵略者が手にすることができるものが塵だけでしかない、つまり侵略が失敗したらという理解も可能。」としている。私は「サマリアに残る塵で人々の手を満たすことができない状態」がベン・ハダドの目標とする状態、すなわちサマリアには塵すらも残さないほど破壊し滅ぼし去るぐらいの決意で臨む、という意味にとらえた。 （次回に続く） 参考地図1-7-7：イスラエルとアラムの戦い
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