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(2010-12-9) ダビデとバト・シェバ part 1 話は、前回書いたラバ包囲戦の頃にさかのぼる。前回書いたとおり、ダビデはヨアブに全軍を預けてラバへ出撃させていたが、ダビデはエルサレムに留まっていた。 さて、ある日のこと。ダビデは昼寝から目覚め、王宮の屋上を散歩していた。ふとダビデが遠くを見ると、一人の女が水を浴びているのが見えた。その女は大層美しかった。その裸形のあまりの美しさにダビデは心を奪われ、その日以後、すっかりその女のことが頭から離れなくなってしまった。 ダビデはついに人を使ってその女の素性を調べさせた。その女はエリアムの娘バト・シェバで、ヘト人（ヒッタイト人）ウリヤの妻だということであった。人妻だとわかっていても、一度火がついてしまったダビデの情熱は、とてもではないがダビデ自身にも抑えることができなかった。 （あの女と寝たい） その後も悶々と過ごして一人の時などはわけもなく部屋の中を右往左往し、ついにダビデは決心を固めた。ある日、密かにダビデは人を遣り、バト・シェバを王宮に招き入れた。王命を受けてやってきたバト・シェバをダビデは寝室に招き入れ、バト・シェバと床を共にした。こうしてダビデは自分の思いを遂げ、やがてバト・シェバは身を清めて家に帰った。 少し時が経つと、バト・シェバは月のものが来ないことに気づいた。妊娠したのである。バト・シェバは使いの者をダビデに送り、ダビデの子を宿したことを密かに伝えた。使いの者がダビデに「バト・シェバが妊娠しました」と告げると、ダビデは衝撃を受けた。 古代イスラエルの規定でも、男が人妻と寝ることは禁止されている（レビ記第１８章第２０節、申命記第２２章第２２節など）。王がそのようなことをするなど、もってのほかである。哀れなぐらい、ダビデはうろたえた。 （どうすればいい、一体どうすれば・・・） ダビデは考え、そうしてあることを思いついた。バト・シェバの夫ウリヤを、戦場から召還したのである。ダビデはラバを攻略中の司令官ヨアブに手紙を書き、ウリヤをエルサレムに一時帰還させた。エルサレムに戻ったウリヤは、さっそくダビデに謁見した。ダビデはヨアブの安否、兵士の安否、そして戦況についてウリヤに尋ねた。ひととおり話が終わると、ダビデはウリヤに言った。「家に帰って足を洗うがよい。」 つまり、ウリヤが家に帰ってバト・シェバと寝てくれれば、子が生まれてもダビデが疑われることはない、というわけである。ご丁寧にもダビデは、ウリヤが王宮を退出する際に贈り物まで一緒に送った。ところがウリヤは、王宮の入り口で、主君の家臣と共に眠り、家には帰らなかった。 （次回に続く） 参考地図1-6-19：ダビデとメフィボシェト〜ダビデとバト・シェバ
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