|
(2010-10-28) エシュバアル、死す アブネルがヘブロンで殺されたことは、やがてイスラエル各地に知れていった。サウルの子エシュバアルは落胆し、全イスラエルはおびえた。アブネルがいなくなった今、もはやユダ族の王ダビデに対抗できる有力な者はいないといってもよい。誰の目にも、次のイスラエル王が誰になるかは時間の問題に見えた。 エシュバアルの配下に、二人の略奪隊長がいた。名をバアナとレカブという兄弟で、共にベニヤミン族（先王サウル、そして新王エシュバアルの出身部族）の者であった。彼らは日盛りのころエシュバアルの居宅を訪れた。そのとき、エシュバアルは昼寝をしていた。 レカブとバアナは、小麦を受け取るふりをしてエシュバアルの家に入った、と聖書にはある（その小麦は、あるいは俸給のようなものだったのだろうか？）。何の疑念を抱かれることもなく二人はエシュバアルの家に入ると、王が昼寝中であることを知り、密かにその寝室に行った。二人は剣を抜くと寝ているエシュバアルの腹を突き刺して王を殺し、その首をはね、その首を携えて脱出した。 彼らはエシュバアルの首を持って夜通し歩き、やがてヘブロンに着いてダビデのもとへ案内された。ダビデに謁見すると、彼らはエシュバアルの首を差し出して言った。 「ご覧ください。王のお命を狙っていた、あなたの敵エシュバアルの首です。主は主君、王のために、サウルとその子孫に報復されました。」 二人はもちろん、ダビデのもとで厚遇されることを期待してこのようなことをしたのであるが、ダビデはこのような行為をもっとも嫌っていた。ダビデは黙って二人の口上を聞いていたが、それが終わると彼らに言った。 「あらゆる苦難から私の命を救われた主は生きておられる。かつてサウルの死を私に告げた者は、自分では良い知らせをもたらしたつもりであった。だが、私はその者を捕らえ、ツィクラグで処刑した。それが彼の知らせへの報いであった（(2010- 9-23) ダビデ、サウルの死を知る part 1参照）。まして、自分の家の寝床で休んでいた正しい人を、神に逆らう者が殺したのだ。その流血の罪をお前たちの手に問わずにいられようか。お前たちを地上から除き去らずにいられようか。」 ダビデは部下に命じて二人をすぐさまに殺させた。そしてその両手両足を切り落とし、ヘブロンの池のほとりで木につるした。 一方、エシュバアルの首は、ヘブロンに葬られていたアブネルの墓に、アブネルと一緒に葬られた。 （サムエル記下第４章より） 参考地図1-6-15：アブネル、ダビデの側につく〜エシュバアル、死す
|
