イスラムの歴史 (2009-4-9)

(2009-4-9)　アビメレク　part 10

（前回からの続き）

　アビメレクとその軍は、テベツの町をも制圧した。

　ところがこの町には、堅固な塔があった。戦闘の最中、町の男も女も、町の首長たちと共にこの塔に逃げ込んで立てこもり、塔の屋上にのぼった。

　アビメレクは塔を攻略しようとしたが、らちがあかない。アビメレクはこの塔も燃やすことにし、点火すべく近づいたその時。

　塔の上に避難していた１人の女が、アビメレクめがけて挽き臼の上石を放り投げた。その石はアビメレクの頭を直撃し、アビメレクを打ちのめした。

　「大丈夫ですか！」　側近がアビメレクを取り囲んだ。アビメレクが上の方を見やると、１人の女が勝ち誇ったように両手をあげて歓声を上げているのが見えた。

　遠のく意識の中、アビメレクは残る力を振り絞って言った。「剣を抜いて、私にとどめを刺してくれ。女に殺されたなどと言われたくはない。」　それで従者は彼を刺して、とどめを刺した。

　アビメレクが死ぬと、配下たちはどうしていいかわからなくなった。アビメレクに従ってここまで来たが、そこまでテベツの町の攻略にこだわっていたわけでもない。それで三々五々、アビメレクの部下たちは自分の家に帰っていった。

　アビメレクが自分の７０人の兄弟を殺した報いだ、と人々は噂した。また、シケムの人々がアビメレクの奸計に乗ってエルバアルの７０人の子を殺した悪事にも神は報いたのだ、とも言い合った（シケムの人々がアビメレクに殺されたことを指して）。こうしてシケムの人々は、エルバアルの子ヨタムの呪いを身に受けることとなった。

（士師記第９章より）

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