イスラムの歴史 (2007-9-24)

(2007-9-24)　ヤコブ　（帰郷編）　part 5

（前回からの続き）

　夜が明け、川を渡ったヤコブ（イスラエル）は自分の一族と合流した。二人の妻や子どもたちは昨夜、自分たちが先に川を渡った後、一向にヤコブが追いついてこないため、心配してまんじりともしないで夜を過ごしていた。しかし、ヤコブの姿を見ると、ほっとした様子だった。ヤコブは二人の妻に、昨夜の一件を伝えた。二人の妻は驚きつつ言った。「でも、神の祝福を得たのは、吉兆ではございませんか」

　昨夜は徹夜で格闘したため、ヤコブは移動を控えて休息（仮眠）した。しばらくすると、しもべの中で知らせる者があった。「遠くから、集団が近づいてきます！」

　ヤコブは飛び起きて、集団を抜けてその方面を見た。確かに、集団がこちらに向かっている。兄、エサウだろう。既定の方針どおり、ヤコブは集団を分けた。二人の側女、二人の妻とそれぞれの子どもを４つのグループに分けた上で、側女のグループを先頭に、次いでレアとその子ども、最後尾にラケルとヨセフのグループを置いた。この方針を伝えると、レアはぶつぶつと不平を言った。「何で、私よりもラケルの方が後ろなのよ」　なんだかんだと、ヤコブはラケル、そして特にその子ヨセフを溺愛していたのであろう。ヤコブとしては、その場を取り繕うしかなかった。「どのみち、私が先頭に出て、エサウと話をするのだから。一番危ないのは、私だ。それに、ビルハやジルパのグループが先頭に立っているのだから。」

　そうして、それぞれのしもべたちにも言い含めた。「私が殺されるようなことがあったら、精一杯闘いながら逃げるんだ。」

　そうこうしている間にも、エサウの集団が接近してきていた。

　「主よ。どうか、私たちをお守りください。」　祈りながら、ヤコブはわずかなしもべを従え、自分たちの集団の前に進み出た。

（次回へ続く）

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